馬の厩舎を訪れたことはありますか?
厩舎を設計する時にとても大事なことがあります。それは壁が痛まないこと。蹴り破るのではなく噛んで壁を引きちぎるからです。
競走施設を設計する時にも大事なことがあります。それは柵にぶつかっても人や馬が怪我をしたり命を無くことのないこと。最近まで日本の業界は勘違いしていて、ぶつけても柵が壊れないことを大事にしていました。カーレースと観衆との関係のようでした。それが海外から馬を預かったり、馬主との間で訴訟が起きたり超高額の賠償を求められたりを繰り返し、海外の施設に見学に行って馬の身体を大切にする事を覚えたと言えます。日本の景気が衰退している時期でもあり、新しい設備の投資に目が向けられなかったのでしょう。
馬は柵があると柵に近づく習性があります。走行中に騎手がよほど気を付けていないとぶつかってしまうことが良くあるのです。
海外のメジャーな施設ではバイナルが使用されています。バイナルは強いが柔らかく弾力があります。ぶつけてもその衝撃は吸収され、少ない反力を生み出すだけで済みます。それによって馬はコンクリートにぶつけたような危険から解放されます。私もレール中の事故を動画で見ましたが、ぶつかった瞬間人は柵を越えた内側に大きな円弧を描くように投げ出され、命を落とす程の大怪我には至りませんでした。馬は一度姿勢を崩して倒れますが、進行方向への重量加速度が0にならないうちに再び起き上がり、馬群に追いつこうとしていました。激突の瞬間、レールは1m程曲がり、その後は直ぐに元に戻りました。広い緑の中のバイナルには安全性という価値観も付加され、馬主、来賓に対するホスピタリティーの1面を担っていると言えるでしょう。
馬と人間同様に犬と人間も近年多彩な関係が生まれています。番犬や猟犬としての犬が時代を経て癒しの対象となったり、成長時の感性を養う為の犬として変化しています。部屋犬などまず無かったと言えます。
こうした変化は人間が暮らす環境の変化から生まれたとも言えそうです。都会暮らしで庭がない、少子化、核家族化で1人暮らしの人間が増えた、共稼ぎにより1人にさせられる子供の時間が増えたなどです。このような家族に対し、犬カフェやドッグパークの存在理由があるように思えます。ドッグランは和製英語でドッグパークが正解です。今や高速道路のパーキングで大人気です。
T書店では親が買い物をする間子供が遊んでいられる施設を作りビジネス化しています。別々に居られるならそれもあるでしょうが、殆どは飼い主と犬が一緒になって遊んでいることが多いようです。それだけ事故も多いのでしょう。
私達はドッグパーク(ラン)はまだまだ進化する形態があると思っています。家族ぐるみでリゾートを楽しんだり、観光地へ行ったり、人間同士でテニスを楽しんだり、喫茶でケーキとお茶を楽しんでいる間遊ばせておけるような設備としてです。そこまで来て犬をゲージに入れておくことは犬のストレスを増長するだけに過ぎません。そんな健康的な背景に基づくドッグランです。
勿論そこには美観が求めらられ、子供の外的安全性や消化器系に無害と実証されているバイナルの可能性と共にです。
それだけで運営するには無理があるでしょうから先ずは総合的な設備の整ったテーマパークのサービス設備としてからだと思っています。